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建築工程で必要不可欠の墨出しとは!?墨出しの作業手順・道具

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墨出し工事は図面と実際の位置を把握するために職人が行う重要な作業の1つです。
この記事では、建設工程では不可欠の墨出しについて解説します。

 

墨出しとは

墨出しとは、工事に必要な基準線や水平位置を地面などに書きだす作業のことです。
図面の内容をもとに建築現場に原寸大の設計図を書いていく作業となります。

 

日本では世界遺産の奈良の法隆寺の建材に墨出しの痕跡が見つかっており、7世紀頃からすでに行われていたと考えられています。

 

墨壺という道具を使い、墨を付けた糸をはじくと直線を引くことができます。

 

墨出しの種類

墨出しには以下の3種類があります。

 

陸墨(ろくずみ)

水平を表す墨のことで、作業現場の基準となる高さを表示します。
陸墨から上に打つ墨を「上がり墨」、下に打つ墨を「下がり墨」と言います。

 

芯墨(しんずみ)

壁や柱の中心を示す墨です。

 

返り墨(かえりずみ)

墨を打ちたい場所に障害物があるときに、その場所から50cmや100cmなど、一定距離を置いて打つ墨です。

 

墨出しで使う道具

墨壺

中に墨を吸わせた綿を入れ、この綿に糸を通して墨を付け、糸を張って図面通りの線を引きます。

 

チョークライン

基本的な用途は墨壺と同じですが、チョークを使うため、簡単に書き直すことが可能です。

 

墨出し器

水平な場所からレーザーを照射し、基準線を示すことができる機械です。
屋外での墨出しでよく使用されます。

 

トータルステーション

角度を測定できるセオドライトと距離を測定できる光波の両方の特徴を持っており、2転換の距離や角度を精密に測定することができます。

 

スケール

長さを測るために使う巻き尺です。

 

差金(さしがね)

L字型の物差しで長さを測るだけでなく、直角を確認するのにも利用します。

 

下げ振り器

糸の先端に重りが付いており、柱が垂直かどうか確認するのに用います。

 

墨出しの手順

建築工事の墨出しの手順は国や地方自治体が定める共通仕様書や特記仕様書に従い行います。

 

1.基本墨出し
通り芯、レベル、コンクリート天端墨、下階からの墨の移動を行います。

 

2.型枠用小墨出し
躯体コンクリートの位置を表示します。

 

3.型枠建込中の墨出し
設備用箱、ルーフドレイン、インサート、アンカー、刺し筋、目地棒などの位置出しを行います。

 

4.鉄骨アンカーボルト
鉄骨の垂直度、レベル等のチェックを行います。

 

5.鉄骨歪直し
鉄骨の垂直度、レベルなどのチェックを行います。

 

6.躯体工事中のそのほか墨出し
カーテンウォール、プレキャスト版等のファスナー、そのほか埋込金物等の位置、レベル出し、デッキプレート取り付けの相番などを行います。

 

7.仕上基準墨出し
陸墨、柱芯、壁芯の立ち上げ、開口部芯、外部角のタテ墨などを行います。

 

8.仕上細部墨出し
内外、各芯よりの返り墨、間仕切り墨、二重天井用墨、石・タイル墨、天井・床割付墨、金物取付用墨等を行います。

 

9.設備関連墨出し
電灯器具取付用墨、各点検口墨、空調器具取付用墨等を行います。

 

墨出しの作業手順

墨出しの作業手順は基本的に2人1組で行われてきましたが、現在ではレーザー墨出し器があるため、1人で作業することができます。

 

墨出しの作業手順

墨つぼを使用する場合は以下のような手順で行います。

①図面の寸法どおりに印を出す
②鉛筆等で両端に小さく印をつける
③両端の印を墨つぼを使用して墨を打つ
④1人が先端を持って片方が墨つぼを持つ
⑤糸を持ちあげ、弓のように弾いて線を出す

 

墨出しの注意点

・墨つぼの糸が逃げないように指に1周させ、引っ張る
しっかりと引っ張ることで線がムラになることを防ぐことができます。

 

・壁の墨出しはレーザーとレーザー用三脚を使用する

 

・墨出ししたあとは図面に蛍光ペンなどで線を引いておく
作業の漏れを防いだり、あとで確認しやすくするためです。

 

・天井付近に墨を出す場合はレーザー用クランプを使う

 

レーザーの墨出し器とは

レーザー墨出し器はレーザー光を壁面や床面、天井に照射して水平や直角などの基準線を出す機械です。
レーザーを利用することで、建物の柱や壁、天井などが水平かどうかを簡単に確認することができます。

 

レーザー墨出し器にはジンバル式と電子整準式の2種類があります。

 

ジンバル式レーザー墨出し器

ジンバル式は自然な重力を活用しているため、温度変化や気圧変化に左右されず、精度を長期間維持することが可能です。

 

一方で振動に弱く、振動を受けやすい場所ではレーザー線が上下に動いてしまい、綺麗な水平線を引くことができません。

 

電子整準式墨出し器

電子整準式はセンサーで液体中にある気泡の位置を電気信号として出力し、水平を出す墨出し器です。

 

振動の影響をうけにくく、ジンバル式で定期的に変える必要があるベアリングの交換は不要ではありますが、気温や気圧の変化により気泡の大きさが微妙に変わるため、精度に影響を及ぼします。

 

レーザー墨出し器のラインの種類

レーザー光は赤やグリーンがほとんどです。最近発売された機種のほとんどが高輝度として赤色レーザータイプとなっています。

 

グリーンレーザー照射方式は2タイプあり、通常の赤色レーザーを結晶に通して緑色に変換する変換方式と直接緑色に照射するダイレクト方式があります。

 

墨出しは建設業28業種のどれに該当するか

墨出し工事は建設業28業種のどれにも該当しません。
したがって、墨出し工事のみを請け負う場合は請負金額に関係なく、建設業許可は不要です。

 

平成19年までは墨出し工事単体でも大工工事やとび・土木・コンクリート工事として認められていました。
しかし、平成19年以降は墨出し工事単体では建設業28業種には該当しません。

 

墨出し工事単体では建設業許可は不要です。

 

しかし、墨出し工事のみを施工している業者が建設業許可が必要になった場合、墨出し工事のみの経験では建設業許可で必要な経営経験、実務経験には認められません。

 

建設業許可を取得する場合は別の業種の工事を施工していればその工事が経験として認められる場合があり、条件を満たせば建設業許可を取得することができます。

 

墨出しは重要な作業

工事は墨出しによって引かれた線をもとに進めるため、墨出しは非常に重要な作業です。

 

墨出しが間違っているとその後の工事に大きな影響を及ぼします。
そのため十分な確認の上、間違いなく線を引く必要があります。

 

沖縄の型枠工事は、民間から公共までお任せください。

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